第12章 誓い
父上の話を聴いた後の夜
父上が先に寝た頃
家の囲炉裏(いろり)の前で…
母上「恵土…
自分を捨てるなんてことは、絶対にしちゃダメよ?」
恵土「?いきなり何?」
母上「父上に
両親が庇って護られた時の話を聴いたでしょうけれど…
あなたは、まだやったらダメ。
だって、あなたはまだ小さいし若い。
まだまだ知らないといけないことが多い。
それにね…
あなたなら、どれほどの苦難を味わうことになったとしても
絶対に、正しい道を進んでくれるって信じているから^^
だから恵土…
生きてさえいれば、きっと大事に想ってくれる人が現れる…
どれだけの時が、一人で寂しくても…
きっと…
あなたを、私たち以上に想ってくれる
そんな人達に、きっと出会う(微笑」
恵土「?(首傾げる)
私には、さっぱりわからないや;
父上と母上がいれば、それだけでいいのに(う~ん;」
母上「最初は、それでもいい…
少しでもいいから、信じる心をもって…
そして、託すことができる…
大事な人が、きっとあなたにもできる…
私が、あなたの父上に会って
互いにとって、そうなったように…^^
だから恵土…
どんな時も、希望だけは捨てないで…
そして…
信じて、全てを託すことができる…
命や魂をじゃない…
願いを…想いを…
この人になら、任せられる…
どうされてもいい…
そう信じられる、託せられる人と
一緒に生きて^^
それが、どれだけ幸せなのか…
それは…味わってみないと、解らないから(微笑」
そう遠い目をしながら、空を見つめ…微笑んでいた…
母上は、父上に助けられて
火事に包まれて、家族が死んだ中で一人だけ生き延びたらしい…
だから…同じ痛みが解るから…
共に乗り越えて、ずっと一緒に居たいと願ったと聴いていた…
だから…
恵土「解った!^^
そういう人が出来たら、絶対にそうするよ!」
母上「じゃあ約束^^
自分の命を、むやみに捨てないこと。
これだけは、絶対に守ってね^^」
恵土「頷く)うん!^^」
そうして…
特別な約束、誓いと共に…
左手の小指同士で、指切りを交わした…