第3章 彼女に捨てられた
付き合って次の日、教室に行くと琴美の周りには誰も居なかった。
いつも楽しげに話している女は居ない。
琴美は悲しげな表情で窓の外を見つめていた。
でも、俺はそれが嬉しかった。
誰も琴美に話しかけようとしないから。
独占できる。
「琴美」
俺が名前を呼ぶとハッとして笑顔を見せる。
その笑顔は俺だけのもの。
周りからの冷たい視線が琴美に突き刺さる。
主に女の視線だな。
男の視線は流石にない。
琴美はその視線に気づくと、
俯いた。
そんな顔も可愛いと思う俺は相当溺れてる。
琴美を独りにしてくれたのはありがたい。
俺は誰にもばれないように口角を上げた。
それからは、ずっと琴美を独占出来て幸せだった。
デートにだって何度も行った。
お揃いのネックレスも買った。
それなのに。
なぁ、なんで?
なんでそんなこと言うんだよ。
「別れよう」
俺が告白した場所で別れを告げられた。
しかも、俺を嫌いになったとか。
なんでだよ。
それに、いつも付けていたネックレスはどこにやったんだよ。
そんな事を考えている間に、
琴美は屋上を後にした。
「な、んで…」
なんで?
なんでこうなるんだよ。
俺、何かしたか?
なぁ、琴美。
教室に戻ると、別の女が琴美の周りに集まっていた。
中には琴美と仲よさげに話していた奴もいた。
俺よりも、そんな奴らの方が良いのか?