第4章 誘拐と鎖
胸騒ぎ…あまり気にしないようにしていたけれど、ある日あり得ないことが起こった。
誰もいないはずなのにどこからか視線を感じるようになったのだ。
別に俺は霊感とかそんなものはないのに…
おかしい。
メカクシ団の自分の部屋で課題をしている間もずっと見られているような感じがする。
正直怖い。
誰に見られているのかさっぱり分からないのだから。
「あぁあ!! もう、なんなんだよっ!!」
セトと付き合ってから口調をなんとか少しでも穏やかにしようと頑張ってるけど、今回ばかりはダメだ。
「琴美!? やっぱり、なにかあったんすか?」
「セト…いきなり叫んでゴメン…やっぱり隠すの止める。実は…」
俺はセトに全部話すことにした。
クロハとのことも、視線のことも全部。
元彼のことをまだ引きずってしまっているから嫌われてしまうんじゃないかと恐れていたが、セトは優しく微笑みながら聞いてくれた。
全て話し終えると、セトは優しく俺の頭を撫でる。
「話してくれてありがとうっす。隠されてる方が傷付くっすから」
「うん、ごめんね。ありがとう」
「それにしても…視線、っすか……なんなんすかね…」
分からない。
俺は首を横に振る。
ただ気味が悪い。一人でいるのが怖くなってきた…
「ね、ねぇ、セト。大丈夫だったら…セトの部屋で一緒に寝たい。一人でいるとやっぱり怖いし…」
「!? え、っと…いいっすよ? うん、俺はなにもしないっすから!!」
「う、うん。うん。ありがとう」
なんだかぎこちなくなってしまう会話。
俺とセトは互いの反応に吹き出し、笑った。
こうしていられるのも、今の内なのに。