第2章 メカクシ団
マリーの部屋から出てリビングに行こうとした時、
「あっ、セトさん」
「琴美さん!メカクシ団には馴染めそうっすか?」
気遣ってくれてる。
優しい人なんだ。
「は、はい」
赤く染まる顔を隠すように俯いて答える。
セトさんは俺の顔を見てクスクス笑った。
笑みもかっこいい…。
クロハの意地悪な笑みじゃない。
優しい笑み。
「琴美さん、可愛いっすね」
「えっ!?」
「あ、えっ、えと、その…あ、あはは」
俺が驚いて声を裏返すと、
セトさんは一気に顔を赤く染めた。
そんな顔されたら、
少しだけ、期待しちゃうじゃないですか。
赤い顔を隠してキドさんが用意してくれた部屋に走る。
部屋に入って鍵をかけた俺は、
そのままベッドにダイブ。
「……ドキドキが、治らない…」
クロハと付き合ってた頃はクロハ一筋だったけど、
別れたからそれはもう過去のこと。
今は………
ポンッとセトさんの顔が浮かぶ。
その瞬間、俺の顔は熟れたリンゴのように赤くなる。
もし、もしも付き合えたら、
幸せなんだろうなぁ。
なんて考えながら、
俺は知らぬ間に眠りについていた。
次の日、目を覚まして辺りを見回す。
俺の部屋じゃな…
そうだ、アジトに住むことになったんだった。
すっかり忘れていた。
今日は学校あるし、早く着替えて行こう。
そう思い、扉を開けた瞬間、
ゴンッと何かにぶつかった音がした。
「いっ、ててて…」
「!!!せ、セトさんっ!?ご、ごめんなさっ!!」
「あ、気にしなくて良いっすよ!俺の不注意っすから」
そう言って許してくれた。
こんな風に優しくしてくれるから、
やっぱり好きになる。
でも、セトさんが俺の事をなんとも思っていないのなら…
仕方ないけれど、諦めるしかない。
俺は軽く朝食を食べて学校に向かった。