第1章 隠れた狂気
「チッ…」
面白くない。
やっと俺に思いを寄せ始めてくれたと思えば、
照れ隠しで原の方に行く。
入学当初、険悪な雰囲気を漂わせたが、
あれは演技。
帝光バスケ部のマネージャーをしていた琴美を勧誘したのは俺だ。
まさか一目惚れするとは思わなかった。
だが、あいつを見つけた瞬間、
心臓が煩くなったんだよ。
顔も妙に熱くなる。
恋確定。
自分の隣に置くために勧誘したに等しい。
だが、
なんであいつらのとこなんかに行くんだよ。
俺だけを見てりゃあ良いってのに。
時計を見ると部活終了時刻。
俺は部活の終了を告げ、制服に着替えるために部室に戻る。
琴美は流石に部室は無理だからな。
女子更衣室で着替えるようにさせている。
「花宮ぁ」
「あ?なんだよ」
ネクタイを締めてブレザーを羽織った時、
原に声をかけられた。
「いつになったら付き合うの?お前ら」
「確かに。見てるこっちの身にもなれっての…焦れったいんだよ」
「他の奴に取られる前に手を打っていた方が良いぞ」
「琴美は男子の中で人気だからね。知らないうちに取られても文句は言えないよ」
うるせぇな。
分かってるっつーの、んなこと。
けどな?一つ間違ってる。
琴美が他の奴に取られる?
んな事あるわけねぇだろバァカ。
あいつも、俺のことが好きなんだぜ?
他の奴に取られることはまずない。
もし取られたとしても、
取った邪魔者を排除するだけだ。