第8章 サッカー大会と歩美の恋
哀が帰り休んでいた新一の携帯が鳴った。
新 「誰からだ?」
ディスプレーを見るとそれは歩美からだった。
新 「歩美か?」
歩 「新一?明日の相手どこか決まったよ」
新 「どこだ?」
歩 「東都小よ」
新 「やっぱりか・・・」
東都小は去年新一達が決勝で負けた相手だった。その試合で相手エースの松本に2点も取られていた。その松本は新一に異常なほどライバル意識を燃やしていた。
歩 「新一、明日勝とうね」
新 「あぁ。もちろんだ」
歩 「そうだ明日勝ってお祝いしなきゃね♪」
新 「そうだな、準備しておいてくれよな」
歩 「うん。うちのチームは新一がいなきゃ。新一が引っ張ってここまで来たんだから」
新 「そうだな・・・」
歩 「明日絶対勝とうね。じゃまた明日ね」
そう言って歩美との電話は終わった。
新 「この足であいつに勝てるか・・・」
こうして夜はふけっていった。
決勝戦当日会場は異様な熱気に包まれていた。各中学のスカウトも集結していた。お目当ては、帝丹の工藤と東都の松本。どちらも今年の目玉選手だ。それと、意外と多いのが女生徒。そのお目当てはもちろん、
「工藤君~」
「工藤君~がんばって~」
「新一~格好いい~」
そう人気では圧倒的に新一の方が多かった。
松 「あいかわらずの人気やな工藤」
新 「まぁな」
松 「今年もうちが勝つからな」
新 「今年はうちがリベンジするさ」
二人はがっちりと握手をした。開始10分前、
元 「今日こそ去年のリベンジをするぞ」
歩 「がんばってねみんな」
一同 「おう!」
歩 「新一、期待してるよ」
新 「まかせとけって」
両校の選手がグラウンドに入っていく。
志 「新一がんばって~」
志保の声援に気づいて新一は右手を上げた。その姿を心配そうに哀は見つめていた。
そして決勝のホイッスルが鳴らされた。
開始5分松本のシュートは元太が防いだ。
松 「くそー」
元 「今日は一本も入れさせないぞ」
新 「元太ナイスだ」
元 「いくぞ新一」
新一へ元太がパスを出す。そこへ松本がマークに付いた。
松 「今年もうちが勝つからな」
新 「それはどうかな?」