第8章 サッカー大会と歩美の恋
新 (げっ、哀・・・)
新一は玄関の覗き口から外を見た。そこには哀の姿があった。
哀 「新一帰ってるんでしょ?」
新 「・・・あぁ、何の用だ?」
哀 「ちょっとね、玄関開けてくれない?」
新 「そこじゃ駄目なのか?」
哀 「なに言ってるの?なにか隠してるんじゃないでしょうね?」
新 「な、何もねーよ」
哀 「じゃ開けなさいよ」
新 「ちょっと今裸なんだよちょっと待ってろ」
新一はそう言ってアイシングしていた道具を風呂場に投げ入れて玄関に戻った。
新 「なんだよ哀?」
哀 「足見せてみなさいよ」
哀は新一の家に入るなり言った。
新 「な、何言ってるんだ?」
哀 「あなた今日の試合で痛めた足を見せなさいって言ってるの」
新 「痛めてねーよ」
哀 「そう?なら踏んでもいいわよね?」
そう言って哀は新一の方に歩みよった。その感じが冗談ではない事を感じた新一は、
新 「わーったよ」
観念したように左足を出した。
哀 「やっぱり」
哀はあきれたように言い、新一をソファーに座らせた。
哀 「よくこんな足であんな事できたわね?」
哀は新一の足首に包帯を巻きながら言った。
新 「まぁな」
哀 「この足では明日は無理のようね」
新 「なに言ってんだ、明日は決勝だ、俺出るぞ」
哀 「相変わらずばかね。この足でどうやってプレーするつもりなの?」
新 「今日みたいにするさ」
哀 「無理よこの足では。いいわ歩美に言って止めてもらう」
哀は携帯電話を取り出した。しかしそれを新一が取上げた。
哀 「なにするの新一」
新 「歩美には絶対に言うな、他の奴にもだ」
哀 「でもその足ではプレーできない」
新 「いいさ、どうせ明日終わったらその後の試合はねーから」
哀 「そう言う理由じゃないわよ」
新 「俺達最後の大会だ。終わるまで黙っててくれ」
新一は哀の目を見つめて見て言った。すると哀は観念したかのように。、
哀 「仕方ないわね・・・でも明日もう一度くるわ。その時テーピングするから。それで少しはましになるだろうから」
新 「サンキュー哀」
哀 「今日はしっかり足を冷やすこと。それとなるべく動かない事。わかった?」
新 「あぁ、わかったよ」
哀 「ご飯は持ってくるから」
こうして哀は新一の自宅を出た。