第8章 サッカー大会と歩美の恋
後半開始10分、新一に中々ボールが回って来ない。相手は新一に3人のマークをつけていた。
新 「くそ、中々自由にプレーができない」
相手はチームの要の新一をマークする事に徹していた。
志 「新一~がんばれ~」
応援席では相変わらず、志保が大きな声を出していた。哀はいつも冷静に見ていた。
歩 「みんながんばれ~」
ベンチからも歩美が必死に声を出していた。その時、一瞬の隙をついて新一が相手ボールをカットし上げって行く。
志 「いけ~新一~」
新一は一人、また一人と相手を抜いていく。
新 「よし、もらった」
新一はペナルティーエリアに入り込みシュート体制に入った。その時、
歩 「危ない」
新一は後ろから強烈なスライデイングを受けフィールドに倒れこんだ。
歩 「新一~」
志 「卑怯よ~後ろからなんて」
哀 「・・・・。」
仲間が新一に詰め寄り。
光 「大丈夫ですか?」
新 「あぁ、なんとかな・・・」
光彦の手を借り起き上がる。
新 (うっ・・・)
新一の左足に激痛が走った。その痛みをみんなに悟られないように、
新 「よし、このPKを決めて逆転だ」
一同 「おぉ~」
その様子を見ていた歩美と志保はほっとしていた。ただ一人を除いて。
歩 「新一大丈夫?」
歩美は新一に声をかけた。すると新一は歩美に向かって親指を立てた。そして新一がPKのキッカーに入る。笛がなって新一がシュート体制に入る。
新 (うっっ・・・)
新一のシュートはキーパーの頭上を超えクロスバーに当たったがそのままゴールに吸い込まれた。
歩 「ナイス新一」
新一はみんなからもみくちゃにされていた。
光 「やりましたね」
新 「あぁ、ぎりぎり狙いすぎたぜ」
志 「新一~格好いいわ~」
新一は足の痛みを隠すようにみんなに言った。
哀 (新一・・・)
新 「あと一点取らないと勝てないぞ」
元 「新一は前線にいろ~俺らがボールまわすから決めろよ」
元太は知ってか、知らずか大きな声を出した。
新 (元太。ありがてぇ)
後半残り5分。新一は相手陣地に張り付いていた。相手はそれでも2人のマークをつけていた。
歩 「新一、あと1点取って決勝よ~」
歩美の声がグラウンドに響き渡る。