第12章 最悪の事件・・・
新一は顔を赤くしてやけくそのように言った。
哀 「何が危ないのかしら?」
哀は不思議そうに新一に聞いた。
志 「そうだよ新一、何も危ないことなんかないじゃない?」
二人は新一の言葉の意味が分からなかった。
新 (こいつら自分達が人気があることわかってないのか?)
そう中学生になりよりいっそう二人は大人びてきていた。元々ハーフで顔立ちがよく、哀はクールであまり人と話さないが、歩美達と話して笑っているときの笑顔がとても可愛く同級生以外からも人気があった。それに志保は哀とは真逆にどんな人とも話し、明るく活発で人気があった。いわゆる中学1年ながら学校のマドンナ的存在になっていた。その二人がいつも新一といる事からその思いをなかなか伝えることが出来ない生徒が多かった。新一もまた学校のアイドル的立場だったが、哀、志保のどちらかとも付き合っているわけではなく、その事でまだ自分にチャンスがあると思っている生徒が多数いたのだった。
哀 「意味が分かるように言ってくれないかしら?」
哀は新一の顔をジト目でにらむ。しかし新一は、
新 「そう言う意味だよ」
そう言って自分の部屋に逃げていった。
志 「ちょっと新一、逃げるなんて卑怯よ」
志保の言葉もむなしく、新一の部屋の扉が閉まる音が聞こえた。そしてその日新一が部屋から出てくることは無かった。
そして次の日の朝、やっと新一は部屋から出てきた。
新 「腹減った~」
そう言ってテーブルにすわり、
新 「今日は哀のばんか、朝飯なんだ?」
新一は背中を向けて洗い物をしている哀に聞いた。
哀 「そこのナプキンがかけてある下にパンが入ってるから」
新 「パンか・・・」
哀 「嫌なら食べなくてもいいわよ?」
新 「いや昨日夜食べてないから食うよ」
そう言って新一はテーブルの上のナプキンを取った。
新 「げ、なんだこれ?」
新一はそのパンを見たとたん背中に寒気がした。
新 「哀、これって?」
哀 「見て分からない?パンよ」
新 「パンて事は見て分かるんだけど・・・」
そこには新一が嫌いなレーズン入りのパンがあったその時、
志 「おはよう~」
志保が起きて台所にやってきた。
哀 「やっと起きたのね」
哀は新一を無視するように志保に話しかけた。