第10章 中学生活の始まり
新一は志保の手を握った。
志 「え、新一///」
志保は新一から手を握ってきたことに少しびっくりした。そして新一の顔を見た。その横顔はいつも見ている新一の顔。しかし今日は一段と格好よく見えた。そして志保は新一の肩に頭を預けた。
志 「新一、好きだよ」
新 「あぁ、俺も志保が好きだ」
ゆっくりと二人は顔を見合わせた。志保は軽く目を閉じた。その顔を見た新一は志保の唇に自分の唇を重ねた。志保の顔はいつもの志保の顔よりずっと大人びていた。お互いの唇が離れると、
志 「ありがとう新一、でも哀にも同じ事言ってるんじゃない?」
志保はいつものにっこりとした笑顔に戻って言った。
新 「ば、バーローそんな事・・・」
志 「そんな事?」
新 「そんな事は・・・」
志 「無いって言えるの?」
志保は新一を見ながら言った。その時新一のお腹が鳴った。それを聞いて二人は笑い出した。
新 「そういや腹へらねーか?」
志 「そうだね~そいや私お弁当作ってきたんだ。戻って東屋があった場所で食べようか」
そう言って二人は来た道を戻って行った。そして東屋に着く頃、
新 「おれ便所行ってくるから先行っててくれ」
そう言って新一は志保を残してトイレに行った。志保は先に東屋のベンチに座りお弁当の準備を始めようとバックを覗き込んだ。しかし、
志 「あ!」
バックの中にお弁当は入っていなかった。
志 「そういや言い合いした勢いでお弁当持ってくるの忘れちゃった・・・」
志保は呆然とそのバックを見つめていた。するとそこに新一が戻ってきた。
新 「お待たせ、で弁当は?」
志 「それが、その・・・」
志保は下を向いてもじもじとしていた。
新 「どうした志保?」
志 「それが、その・・・作ったのは作ったんだけど・・・忘れちゃって・・・」
志保は今にも泣き出しそうな顔をしていた。それを見た新一は、
新 「気にすんなよそれくらい、帰ってから食べたらいいじゃねーか」
新一は志保の頭をなでた。
志 「ごめん・・・新一・・・」
新 「いいって。その気持ちだけでうれしいからさ、じゃ何か食べに行こうか」
そう言って新一は立ち上がり志保に手を出した。その手に志保は差し出し立ち上がった。
新 「じゃ行こうか」
そう言って二人は東屋を出ようとした時、後ろから声をかけられた。