第15章 信じてた正義は思い違いな事実だった
自分の行動が100%正しいなんて
思っているわけじゃない
間違えたこともするだろうし
過ちなんてあるのは当たり前だ
生きてりゃ、しないことの方がおかしい
だけど、あの時の俺は
絶対に自分が正義だと信じていた
おかしいのはアイツだと思って
アイツの姿が視界に入ることにさえ
嫌悪感を抱いていた
悪いのは霜月だ
出来た姉を妬み嫌がらせを繰り返す
性根が腐ったアイツがおかしいんだ、と
だからアイツを殴ろうと
どれほど傷つく言葉を投げつけようと
霜月の心が俺たちが思っている以上に
ズタズタになっていようと
俺たちは、俺は悪くない
何も間違ったことはしていない
今の今まで、そう思っていた
…違う
本当はどこかで気づきかけてたんだ
「あの時の俺たちは
本当に正しかったのか?」
「暴力による正しさなんて存在するのか?」
そんな疑問もあったのに
あまりにも都合が悪すぎて、目を逸らし続け
どうせもう会うこともない
なんなら過去のことだと忘れていたり
気にしていないかもしれない
何十年と生きる人生の中で
中学時代のたった1年ぐらいのこと
だから、俺の中で
俺は悪くなかったと完結させても
なんら問題は無いのだろう
俺は
間違ってなんかいない悪者じゃない
罪悪感なんて持つ必要はない
無い、ない、無い
そうして自分を守ることに
目を逸らすことに必死だった
しかし、それはもう許さない。と
無理やり顔を掴まれ目を逸らすな、と
引っ張られたような気分だ