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愛されたい症候群。

第14章 そんな言葉で私を傷つけるの




「ふざけんな!!!!」

「霜月、落ち着…」

「うるさい!!!」


慌てたように立ち上がった忍足先輩を
睨みつける


こんな風に噛み付いたことは無かった
出来るなら、やっておけば良かった

こんな後悔
何故今更しなければならない


なんでまた
そんな言葉で私を傷つけるの


泣きそうだ
いっそ、声を上げて泣いてしまいたい

目頭が熱くて
喉がぴりぴりとして
堪えるのに精一杯で
次の言葉を発することも出来ない



…ダメだ
泣くなんて情けない姿
そんな弱味を見せちゃダメ

大丈夫 飲み込める
落ち着け私。大丈夫、大丈夫大丈夫


「…自分を守るために
私を傷つけるのは、やめてください」

「っ、傷つけたくて言ったわけじゃ!!」

「宍戸先輩がどういう思いで
言ったかなんて知りたくもないですけど。
受け取り手の気持ちが分かるんです?」


ほら、すぐ黙っちゃう



宍戸先輩に対しては
恨んでなんかいなかったのに
むしろ感謝の気持ちも僅かにあったのに

全て消えてしまった


結局この人も誰かの為と言いながら
自分のことしか考えていないんだ


私も同じ
だけど、同族と思いたくはない


「な、なんだよ!!亮!
霜月がやってねぇ証拠でもあんのかよ!」

「じゃあ逆に聞きますけど
私がやった証拠はありますか?」

「うるせぇお前には聞いてねぇ!!!」


向日先輩とは話にならない


会話が出来ないというのは
意思疎通に不便だな


「…霜月が何もやってねぇ
証拠なんか持ってねーよ」

「ほら、」

「だけど霜月が何かやった証拠もねぇ。
俺たちが勝手に思い込んでいただけだ」

「それはりおなが!」

「思い出そうとしなくても思い出せるだろ。
りおながついた嘘を
俺たちは鵜呑みにしてたんだよ」

「嘘…んなわけ、」

「岳人。アイツがそんな事せーへんって
心の底から言えるか?
あの女の事や。おかしないやろ」

「侑士までこいつらの味方すんのかよ!?」


むしろ向日先輩は何故ここまで頑なに
信じようとしないんだろう、と
考えてすぐに気がついた


りおなが言っていたことが
偽りだったのであれば自分たちが正義だと
思っていたことは正しくなかったと
飲み込まなければいけないから





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