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愛されたい症候群。

第14章 そんな言葉で私を傷つけるの




さて、どうするか
今日はこのまま帰ってしまおうか


向日先輩は納得していない顔で不貞腐れている
そんな彼を忍足先輩は必死に説得しているが
かなり時間がかかりそうだ

まともな話し合いになると思えない


宍戸先輩は…ずっと俯いていて
なに考えているかまるで分からない


「だから岳人…!!」

「俺はりおなが嫌いだ!!
でもそれ以上にコイツのことも嫌いなんだ!」


指をさされ、コイツと呼ばれ
…私の堪忍袋もそろそろ限界を迎えそう



くそムカつくんだけど、どうしよう

当時より大人になっているとはいえ
今の先輩たちに「私は何にもやってない」と
言って信じるものだろうか


いや…余計に腹立つだけかもしれない
むしろ溝が深まるだけな気がする


ただ大人しく罵倒され続けるのは
不愉快極まりない
やっぱり今日は帰ろう


「っ、ねぇよ」

「は?なんか行ったか亮」

「霜月は…何にもやってねぇよ」

「なに言っ「なんですか。何言ってるんですか」


向日先輩の言葉を遮って出た言葉は
意図的に出したものでは無かった
思わず口にした、と言った方が正しい


私にはどうしても
聞き流せる台詞じゃ無かったから

そして簡単に信じることも出来ない


「分かってんだろお前らだって!
霜月はりおなに何もしてないってこと
気づいてるんじゃねぇのか…!」

「…っ」


何も言わない 反論がない
それは即ち、肯定の意を表す


「宍戸、先輩は何を言ってるんです…?」

「…俺は。気に入らないからって身内を
虐めようとする奴を勧誘したりしない」


なんだその顔 その表情
そんな決め台詞で格好がついたとでも
思っているのか

なにを、この人はなにを言ってる


分からない
私には理解ができない


「なんで今更そんなこと言うの!!!」


私から勢いで出た大声に
彼らは肩をビクつかせたが、関係ない知らない


「違う、俺は」

「なんで!?あの頃じゃなくて!!今!!
今更そんな風に言って
自分は真実を知っていたとでも
言いたいわけ!?」

「そうじゃねぇ…ただ」


しおらしい態度に余計苛立ちが募る


なんだ、その顔


泣きそうな顔は許さない
そんな顔する権利、お前らには無い




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