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愛されたい症候群。

第2章 気づいた自分に吐き気がした




目的のモノだけさっさと買ってレジに並ぶ

今日はあまり混んでいないから
すぐに帰れるはず

あの人の顔をもう1度見る前に帰りたい

いつもなら手際がいいと感心する店員さんの
レジ打ちが今日は異常に遅く感じた


「2863円になります」

「これで」

「3063円お預かりいたします。
おつりとレシートとのお返しです。」

「ありがとうございます」


買ったものも少ないし
形を気にするようなものも無い

折り畳んであるエコバッグを広げて
とにかく突っ込んだ

エコバッグは常備してますよ
環境を大切にしないとね


よし、あんまり重くない
これなら早歩きでも帰れる

店の中とかちゃんと見ていないけど
きっとあの人は帰っただろう
帰ったと信じたい

話すことも無ければ会いたくもない

とにかく1分1秒でも早くここを離れよう
そう思いスーパーを出た、が


「よ、よぉ」


な ん で い る

何故さも当然のように立っている
待ってたのか まさか私を待っていたのか
新種のストーカーですか
自意識過剰?いや違うと思う


無視して通り過ぎるのってアリかな
いや、でもさっき返事しちゃったから
他人のフリはできない

…と、そこまで考えて
私がこの人に気を使う必要はないことに
気がついた


別に親しい仲じゃない
というか恨んでいていい相手だ

わざわざ相手が望む反応をしてやる意味は
全くもって無いじゃないか


少し震えていた挨拶に答えることもなく
目の前を通り過ぎようとした

し、か、し


荷物を持っていた方の腕を掴まれた

振りほどきたいけど
荷物持ってるから上手く動かせない

もうこれ叫んでいいよね!?
誰か人を呼んでも大丈夫だよね!?
だって私悪くないよ
これ助けを求めて当然だよ!


「ちょ、待っ…」

「離して下さい」


待たねーよ待つわけないだろ

自分の精一杯の低い声と冷めた視線で
睨みつけた、つもり


もうやだ仕事頑張ったのにこの仕打ちなに

ほんとこの世に私が信じられる
神様はいないんだな、知ってたけど



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