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愛されたい症候群。

第14章 そんな言葉で私を傷つけるの





早くやれと私が急かしたからなのか
先輩たちも案外、焦っているのか
集まって話をすることになったのは数日後


場所は忍足先輩の家
まさかこんな所に来ることになるとは
人生、ほんと何が起こるか分からない


「あ、霜月。すまんな休日に」

「私が指定した日なんで別に。
皆さんもう来てるんですか?」

「来とるで。
…今日これたのは宍戸と向日だけやけどな」

「ま。急ですしね。お邪魔します」



部屋の扉を開けると
中にいた2人が目を見開いて私を見た


そして、気まずそうに視線を逸らす


「どうも。何年ぶりでしょうかね」


宍戸先輩には前に会ったけれど
忘れたフリをした
あんなの会ったのうちに入らないし

宍戸先輩は「え」って思ったかもしれないが
そんなの知らない関係ない


「マジで来るって思わなかったぜ…」


向日先輩がポツリと呟くように言う

その言葉がなんとなく、癪に触った
イラついたと言ってもいい


下ろした腰を再度上げると
またもや視線は私に集まった

忍足先輩が不安そうに私の名前を口にする


「…私、失礼します」

「な、なんでや!?」

「どうやら歓迎されてないようなので」


まぁ、歓迎されても
意味わからない話だけど

慌てる忍足先輩に申し訳ないとは思わない
この人たちにそんな感情は湧かない


「侑士!俺はやっぱ認めねーよ!」

「説明したやないか。霜月は…」

「姉貴があんな奴だったからって言っても
コイツは跡部だって困らせたんだぜ!?
身内の諍いを部活に持ち込むような奴と
協力したくねぇ!!」

「…は?なに言って、」

「確かに霜月のやり方は褒められるような
もんやあらへんけど
りおなが姉やったらそうなるのも
しゃーないやないんか?」


なぁ、と忍足先輩が困った顔をして
私に同意を求めてくる

彼等が話していることに
私の脳が、理解が追いつかない



だけど、と続ける向日先輩の声を聞いて
やっと自分の勘違いに気がついた
そして、気がついてしまったことで
私は呆気にとられ動けなかった



私は勝手に思い込んでいたから

彼女の本性を知った彼等は
自分たちの過ちも同時に知ったのだと

私の無実に気がついた、と



どうやら私が思っていたほど
簡単に事は進んでくれないみたいだ



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