第13章 時間が全てを癒してくれるなら
意味が分からない
何を言っているんだこの人は
俺達が邪魔したい?あの2人の?
「りおなの本性でも知ったんですか?」
「本性…せやな。
俺達はずっとあの女に騙されていた」
「なに被害者ぶってるんですか。
騙されていたのは事実かもしれないけど
あなた達は立派な加害者ですよ」
今更、騙されていたからなんて
逃げは絶対に許さない
被害者になろうとするなんて認めない
被害者は私だけだ
あの時、みんなのストレスのはけ口に
されていた私だけ
「そんな、つもりやない。
ただ何も気づかんかった自分があまりにも
情けなぁてしゃーないだけや」
この人の自分語りに付き合うつもりは
毛頭ないし時間の無駄 帰りたい
つーか帰るぞ本気で
「で?一人本性に気が付かない部長が
哀れで仕方ないから助けたいって?」
運ばれてきた烏龍茶に口をつける
…なんか薄い気がする
ただの烏龍茶がこんなだとお酒は
期待できそうにないな
二度と来ないからどうでもいいけど
「跡部は幸せにならなあかんのや。
あんな女の餌食になったら…っ」
「幸せに、ねぇ…」
人を1人、追い込んでおいて
傷つけてボロボロにしておいて
幸せならなきゃいけない?
幸せになるべき人?
なにそれ
なにそれ
なんっだそれ
「意味わかんない。じゃあ、私はなに?
私は幸せになるために生まれてきた
けではないと。
ゴミみたいに扱われるために生まれてきた
とでも言いたいわけ?」
腹が立つ 気分が悪い
苛立たしい 心底不愉快だ
それがコイツの本音だと
分かったから余計に頭に血が上る
「いいねあの人は!!
人を絶望まで突き落としても
幸せにならなきゃいけないって思って
もらえるんだ!?
騙されてるからなに?
そんなの自業自得でしょ」
恋は盲目、という言葉もあるけれど
そんなの阿呆らしくて
周囲の助言に耳を貸さず目の前の事実から
逃げてる甘ちゃんの幸せだなんて
願えるはずもないじゃないか
むしろとことんまで堕ちて現実を
身に染み込ませろよ