第13章 時間が全てを癒してくれるなら
入った店は色んなところで見かける
チェーン店の個室居酒屋
一瞬個室かよとは思ったけど
話す内容のことを考えると
周りに聞かれる可能性が無い方がいい
お酒は絶対に飲まないようにしよう
「好きなん頼みぃや」
「烏龍茶で。
食べ物は少しでいいです」
いくら治まったといえど
またいつ痛みがくるか分からないし
食欲はあまり無かった
店員さんに注文を終えて
気まずい雰囲気が間に流れる
最初は手元をぼーっと見ていたが
黙っていても時間の無駄なので
顔を上げたら
忍足先輩の顔色もあまり良くはない
最初は気が付かなかったけど
正面で見ると隈ができているのが分かった
「…こうしていても意味が無いので
話しますが」
一瞬、先輩が肩を震わせたのに気が付き
思わず目を逸らす
こんなに弱々しそうな姿を見せられると
今まで怖がっていた私は
なんだったんだと自分自身を哀れんでしまう
強く見せたいのなら
最後まで貫き通すべきだ
「一体何の用があって私に関わろうと
しているんですか。
高校の時だってそんなの無かったのに」
何か私に言いたいことがあるなら
高校の時に接触してきてもおかしくない
どこの学校へ行ったかなんて
姉に聞けばすぐ分かること
それなのに、今更
5年以上経ってなんでわざわざ
私には少しの心当たりもないのだ
「跡部が…りおなとの結婚を
考えとるっちゅー話を、聞いて」
「あぁ。その話ですか」
つい先日、当事者から聞いたから知ってる
「それが?その話と今回のことが
繋がる意味が分かりませんけど。
もしかして邪魔するなとか言いたいんです?
だとしたら心配ご無用ですよ。
私から関わる気は微塵もありませんので」
アイツらが結婚しようが
子どもを産もうが私には少しも関係ないこと
て、いうか未だに私が
絡んでくると思っていたなら本当笑う
思考が中学で止まってんの?
そこから成長してないの?やばいよ
「ちゃう…その逆やねん」
「は?」
「俺は、俺たちは
あの2人の邪魔がしたいんや」