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愛されたい症候群。

第13章 時間が全てを癒してくれるなら




自分のことを傷つけた人間と
関わるのが苦しい、嫌だと思うことは
いけないことなわけがない


子どもの時の話

もう何年も前の話


だからなんだというのだ

私が傷つけられたのは事実で
いまだに恐怖も憎悪も消えないのは
時間のせいなんかじゃない


時間が全てを癒してくれるなら
この世に負の感情は存在しないだろう

許せないのだ
私は彼を許せない
彼だけじゃないけれど


だって過ぎたのは時間だけで
彼らが私に土下座どころか
謝罪のひとつもしたことがない

罪悪感を持っているように見えるだけで
実際は何とも思ってない可能性もある

私は、何度も許しを乞いたのに
違うと否定して
身体を張って戦ったのに

どうして彼らだけ
罪悪感を持つことだけで許されるの
そんな表情をするだけで
また私が悪者にならなきゃいけないの


そんなの絶対に許さない





忍足先輩を睨みすぎたせいで
目頭が痛くなってきた時
ふと、思いついた



そうだ

今度は私の番だ


私が手を下す番なんだ

私が彼らを手のひらで転がせばいいんだ



あの女と違って私は一人だ
一人対何人だろう
でもそれはもう経験してる

一人で頑張ることには慣れた
もう少し、頭を使って
あとちょっと頑張るだけ



そうすればきっと私だって

あの人に、りおなに勝てるんじゃないのか


「聞きますよ…」

「え?」

「私に用があるんでしょう?」


動揺している先輩を笑いながら見上げる


もう逃げるだけなんて
無意味なことはやめだ、やめ

どこにいたって
私はこの人達から逃げられない


それなら最後の悪あがきをしよう


「大丈夫、なんか。別の日でも」

「いいです。行きましょう」


貴方たちと関わる時間は少ない方が
いいので


そう言いたかったけど、飲み込み
痛みの治まったお腹を擦りながら
立ち上がる


「ほんなら行こか。
適当に店、入るわ」

「そうですね」


覚悟は決めました

あとは、全部やりきるだけ




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