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愛されたい症候群。

第11章 記憶の引き出し




高校の時りおなに良くない噂が
流れていることは知っていた

が、本当に稀に聞く程度だったし
気に求めていなかった

あの跡部と付き合っているのだ
嫉妬や羨みの結果は仕方がない、と


ただ跡部の耳に入らぬよう
言うならば他所で言え、とは言っていたが


その時のことを思い出し
当時のクラスメイトなどにりおなの
ことを聞いてみることにした

どんな噂がどのように流れていたのか


聞けば聞くほど反吐が出る内容だった


「バレることを恐れていたんか
主に他校の奴らばっかみたいやが
とにかく男を取っかえ引っ変え。
しまいには簡単に股開くとんだアバズレ
クソ女やったようやで?」


跡部の名が大きすぎて
表立って言われることはなかったようだが

陰で生徒の中では
相当に言われていたようだ


知らなかったのは俺たちだけ
この場合も井の中の蛙、大海知らずと
言うのだろうか
いや、少し違う気もする


「は、そんな…」

「〝この関係がバレたら跡部に消される〟
っちゅー決めゼリフで隠してらしいわ。
そら、みーんな跡部は怖いわな」


やったら誘われてもその女に手ぇ出すな
っちゅー話やけどな


「こんなメス猫以下のクソビッチが
跡部の伴侶になる、なんて許せるんか?
祝福できるか?」

「跡部部長が可哀想すぎます…!!」

「俺たち、ずっと騙されてたってことかよ」

「くそくそ!!ありえねぇ!!!」

「…それで?
忍足はどうしたいんだC~?」

「なんやジロー。
今日はえらい大人しいやんけ」


いつもの喧しさが全くないジローだと
こっちの調子が狂う

ジローは天井を見上げ、首を傾げながら
うーんと唸り始めた


「俺そーいうのよく分かんないけど
りおなちゃんが酷いってのは分かった」

「ジローの彼女がこんなこと
しとったらどう思う?」

「俺彼女いないよ?」

「例えや」

「んー…すっげぇ悲Cかなぁ」


ここで怒りではなく悲しみが先に
くるところが自分とは違う、と思った



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