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愛されたい症候群。

第10章 まるで歌うような弾んだ声





跡部の幸せは願っている


ずっと一緒にやってきたチームメイトで
俺たちを引っ張ってきてくれた主将だ

似合わないくらい陰で苦労してきたことも
努力してきたことも知ってる


だけど、それ以上に
俺はりおなの思い通りに事が進むのが
気に食わなくて仕方ない

お前が跡部を幸せに出来るはずがない


なぜお前の我儘さが許される

なぜお前の願いだけが通る


きっと結婚してしまったら
りおなは一生勝ち誇った顔をするだろう

そして態度の悪さにも
拍車がかかるに違いない


「結婚は…早いんとちゃう?」

「いつでも俺はりおなを養える。
そろそろ将来を考えるっていう話だ」

「婚約、とかそういうことか」

「そうだな」


やめておけ、と言って跡部は聞くだろうか


素直に聞き入れてくれるのならば
既に別れている筈だ


なんであんな女が
跡部を繋ぎとめておけるんだ

俺たちは…やはり、あの女以下なのか


「そういえば昔
りおなと付き合うこと反対してたな」


今だって反対だ

結婚なんて、ありえないと思ってる



…でも、だけど
2人が本当に愛し合ってるなら
それはもう一緒になるべきだ

りおなだって俺たちに対して嫌な顔をするだけで
跡部のことが本気で好きなら
それは俺が口を出すことじゃない


気に食わない

だけど、祝福しよう
跡部が幸せならいいじゃないか


「…そんなことあったか?
美人な彼女連れとるん跡部が羨ましゅうて
んなこと言ってたんや。ガキやったな」

「忍足にも女ぐらいできるだろ」

「はは、願っとるわ」


乾いた笑いだと自覚した



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