第9章 勝手に自己完結してました?
「よ、お疲れさん」
「…は?」
悲報
過去のいじめっ子が本当にストーカー化
した件について
なんかありえそうなラノベみたいな
言い方しちゃったけど
ただのクソ野郎じゃないか
嫌な予感はしていたが
渋々、勤めているとこを教えたら
まさかの仕事場まで来るという
本当にはた迷惑な話
「なんでここにいるんですか」
「そんな顔せんくてもええやん。
久しぶりやし積もる話もあるしな」
「私はないんですけど」
昔の事は確実に私の中でトラウマで
誰であろうと彼らに会うと
身体が震えていたけれど
何だか馬鹿馬鹿しくなってきた
むしろ私が怖がれば怖がるほど
彼らにとっては都合がよくなるだけで
今さら私に会いに来るなんて
何か企んでるに違いないんだから
だったら、もう
無闇にビクビクするのはやめよう
そんな簡単にやめれるものでもないけど
向こうだってりっぱな大人だ
大丈夫、あの女はいない
「霜月に話があんねんって」
「では用件をどうぞ」
「立ち話もなんやし、飯まだやろ?
食いたいもんあるか?奢ったるわ」
「いえ、大丈夫です」
早く話を終わらせてほしい
そしてさっさと帰りたい
そんな私の態度が伝わったのだろう
忍足先輩は露骨に嫌そうな表情を浮かべた
「なんでそんな態度なん?」
「…はい?」
「先輩が奢ったる言うてんねやで
ちっとは嬉しそうな顔せぇや。
可愛くないやっちゃなぁ」
怒りを越して呆れ
いやもう呆れすらない
思わずポカーンと口を開ける
何言ってんだコイツ?
先輩が奢ってやるから嬉しそうな顔?
可愛くないやつ?
「…っ、くっ、…
あっはははははは!!!!」
「、は?」
「はは、あはは!!
ちょっと、忍足せんぱ、はぁ。
流石に面白すぎません?」
笑いすぎてお腹痛い
こんなに笑ったのいつぶりだっけ
まさかこの人に笑わせられるなんて
不覚というかなんというか
急な私の爆笑についていけない
忍足先輩の顔は間抜けそのもの
そのあまりの似合わない顔に
また笑いがこみ上げてきた