第9章 勝手に自己完結してました?
「なにを笑てんねん。
俺はいっこも面白ないんやけど?」
「いやぁあまりにも
先輩の脳みそがお花畑なものですから。
ぷっ、あーまだ面白い」
「なんや馬鹿にしてんのか?」
「馬鹿とかそういう問題じゃなくて。
え、分からないんですか?
面白い通り越して不安になっちゃいます」
「…おちょくんのも大概にせぇや」
勢いで掴まれる肩
もう恐怖は完全に消え失せた
触るな、という意味を込めて
振り払うように手をはたく
「おちょくってんのはアンタだろ?」
「あ?」
「自分たちが中学の頃
私に何をしたか忘れたんです?
まさか時効だとか大したことじゃないから
なんて勝手に自己完結してました?」
「っ、あれは、」
「もしかして未だに悪かったのは私で
私の自業自得の結果だとか?
信じてる系ですか?
そうですよねそう信じないと
自分たちの非を認めることになる。
先輩たちのくっだらないプライドを
守るために必要ですもんねぇ」
私ってこんなに饒舌に喋れたのか
20年ちょっと生きてきて初めて知った
「別に信じて欲しかった、だなんて
言う気はサラサラありませんよ。
ただ言いたいことはですね?」
「、」
「自分に害を与えてきた存在と食う飯なんて
奢られたって不味いに決まってんだろ」
「なっ、!!」
「戯言もいい加減にしてくれます?
頭だけはいいんですから
もっと考えてもの言ってくださいね」
では、失礼しまーす!
言いたいこと全部…でもないけど
大体のことは言えたからスッキリ
あとは逃げるが勝ち
放心状態の忍足先輩は
追いかける力すら残っていないようだ
あの人たちの中で
私はずっと弱いままでいたから
こんな風に言われるなんて
思ってもなかったんだろうな
…もっと前からこうやって
言いたいことはちゃんと言うように
すれば良かった
そうすれば、
…やめよ、ifの世界なんて無い
虚しくなってしまうだけ