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愛されたい症候群。

第8章 もう泣かないって決めたあの時の誓いは




「ごめん、ご馳走様です」

「ええわ次ん時は霜月奢りで焼肉やし」

「そんな約束したっけか!?」

「した」

「してない!!」


絶対焼肉の方が高いじゃないか
しかもこの人めちゃくちゃ食べそう


「他人の金で食う肉ほど美味いもんはない」

「く、クソ野郎…」

「あ?」

「いだだだだっ!!!」


だから!ほっぺを抓るなと!!!
だめほんとに痛い取れる!!!
千切れる!!もげる!!!


「…」

「ねぇ、ちょ、ほんとに痛いんだけど!!」

「怖ないやろ」

「現在進行形であなたが怖いですが」

「中学ん時とはちゃう。
誰も味方がおらんわけやない」

「何の話、」

「俺は霜月の味方や」

「!…明日は雪でも降るのかな」

「死ね」

「だぁぁぁあすみませんすみません!!!」


だってそんなこと急に言われたら
嬉しいのと、なんだか照れくさいのと


「っ、」

「泣くほど痛ないやろ」

「痛いよ、っ、痛い」


信じても良いことなんてないことだけは
学んだはずなのに
嫌ってくらい分かってるのに

また信じたいなんて思ってる


もしかしたら、って期待してる
バカみたい ほんとにバカだ

死にたいくらい酷い目にあってきたのに


「…泣くな」

「財前のせい、だよ」


いつの間にか手は頬から離れていて
財前は少し乱暴に私の涙を拭いだした


それでも止まらない
こんな風に泣いたのいつぶりだっけ

泣いたって何も変わらないなら
もう泣かないって決めた
あの時の誓いはどこに行ったんだ




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