第8章 もう泣かないって決めたあの時の誓いは
部活外ではそう関わることもしなかったので
選手との仲も普通だったし
平和にやっていたのだ
…1年の時は
「私が2年に上がって、あの人が来たの」
「霜月…りおな」
「元々はお嬢様学校行ってたんだけどね」
氷帝とさして変わらないほどのお嬢様学校
何故、姉妹で違う学校に通っていたかというと
単純に愛情の差
両親は昔から先に産まれた姉ばかり
可愛くてしかたなかったらしく
私に対してはずっと無関心だった
何をしても褒められるのは姉
例え姉以上の結果を出したとしても
あの人たちが私を見ることはなかった
だから姉はお嬢様学校へ
私にはそこまで金をかける必要はない
それでも世間の目は気になる
と、いうことで氷帝へ
幼い頃から姉との差には気づいてた
姉は望むもの全てが与えられ
私には我慢を強いられる
両親から「可愛い」など言われたことがない
それどころか、褒められたことさえ
片手で数えられるくらいだ
頑張れば褒めてくれるんじゃないかと
素直だった頃もあったけど
全部なんの意味も成さなかった
そして姉も自分だけが愛されていることを
分かっていたから
両親に媚を売るフリをして
見事に手のひらで転がしていた
そんな姉にとって私の存在は
〝都合のいい玩具〟
親にありったけの愛を注がれても
多少ストレスは生まれるらしく
そのはけ口が私
やってもいないことで
私が両親に怒られているとこを見て
ニヤニヤと陰で笑いながら見ていたり
同級生や親戚に
「姉と違って出来が悪い」と
いわれる私を嘲笑ったり
直接暴力を振ったりするのではなく
周りからの私の評価を下げていく
比例するように姉の評価は上がる
それに悦を感じていたようだ
彼女は、私が酷く落ち込んでいると
耳元で歌声のように弾んだ声で囁く
「愛されるのは私だけよ。
アンタは私と違って愛されない」
それは紛れない事実であり
逃げられない現実だった