第5章 今日はあんみつ食べに来たけど
いくら突き放しても話しかけてくるし
正直うっとおしい、だるい
タオル欲しけりゃ自分で取る
飲み物だって好きな時に飲むからほっとけ
俺が目に見えてウザそうにすると
今度は先輩たちからうるさく言われた
しかも跡部サンまで睨んでくる
なぜここまでストレス溜まる場所で
練習しなければならないのか
耐えきれなくなった俺はサボタージュ決行
バカみたいに広い校舎内だ
どこか行ってしまえばすぐには
見つからないはず
コートを離れて適当にぶらつくことにした
「ほんま何やねんうっとおしい…」
思い返せば返すほど腹が立つ
あの貼り付けたような笑顔
謙也さんは天使だとかなんとか言ってたけど
アホか、と本気で思った
どこかで俺達を見下してる雰囲気と
甘ったるいトーンの声
全部が癇に障る、気持ち悪い
そう思ったから離れていたのに
向こうから近づかれてはどうしようもない
「人がイラついとんのくらい気づけや」
いつもなら無い独り言が思わず出るくらい
ムシャクシャしているようだ
足元の石ころを蹴ってみるが
そんなことでスッキリするはずも無く
虚しく転がっていく石に
更に苛立っただけだった
…とりあえず、どこかで腰を降ろしたい
久しぶりの合同練習でハイなのか
今日はいつもより休憩時間が少ない
いっそ室内で寝転がりたいぐらいだ
保健室にでも行ってやろうかと思ってたら
丁度、部室棟の前に来たっぽい
さすが金持ち学校
中学校とは思えないほど綺麗な部室
誰も居ないことは分かっていたが
窓から何気なく、中を覗いてみた
この時の行為を
俺は後悔することにもなるし
過去の自分良くやった、と思うことにもなるのも
まだ知らない