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愛されたい症候群。

第5章 今日はあんみつ食べに来たけど




男女が仲良いだけで
付き合ってるんでは、と囃し立て噂を流し

本人達より盛り上がるのは周りの人間

中学生なんてそんなもんだ


だけど他人からとやかく言われるのが
好きではない俺にとって
そんな風潮はあまりにもくだらなく

恋愛なんてするものではないと思ってた

…アイツを見かけるまでは




初めて…と言っても
見かけたのはその日だけで
それ以降目にすることは一度も無かった

蒸し暑さと湿気で不快になる6月
梅雨真っ只中


俺たちは合同練習をする為に
氷帝学園のテニスコートにいた


「なんで俺らが来なあかんねん」

「こっちのがコート広いんやで
しゃーないやんけ」

「やる気なくすっすわ」


なんとなく偉そうな態度の東京人は
気に食わない。金持ちだと尚のこと
偏見だとは分かってるがそう思うんだから
仕方ない

そんな奴らと試合ならまだしも練習
しかもこっちにわざわざ出てこさせるなんて


「…だるっ」

「ちょっとはやる気出せや!」


先輩らだって明日の東京観光が楽しみな
だけのくせに



やる気がなくても練習は始まる

まぁどこでやるにしてもテニスはテニス
それだけは変わらないから大丈夫だと
そう思っていたのだが


「はじめまして!
マネージャーの霜月りおなです。
今日はよろしくお願いしますね」

「えっらい可愛い子やな」

「俺達のマネージャーだ。当然だろう」

「ちょっと、やめてよ景吾」


練習前のミーティングが終わる頃
氷帝の跡部部長に連れられてきた女
どうやら向こうのマネージャーらしい


確かに見目は綺麗だ
長くサラサラとした栗色の髪に
ぱっちりと二重の大きな瞳

小柄で細いがスタイルは悪くない

男受けが良さそうな外見


そんな第一印象で、なんとなくだけど
俺は嫌な感じがした
先輩らは可愛い可愛いと盛り上がって
霜月さんを囲んでいたが


直感というか、なんというか
とにかく自分とは合わないタイプだと判断し
極力近づかないことに決めた

…にも関わらず


「財前くんタオルどうぞ」

「…どーも」

「ドリンクいるかな?」

「後で飲むんで」

「財前くん財前くん!」


なんやねんこの女




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