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愛されたい症候群。

第4章 あるとすれば性格に難アリ




白石さん達は奢ってくれると言ってくれたが
奢られる理由も無いので
きっちりとお会計を済まして店を出た


「俺らその辺ぶらついてから帰るけど
財前どないする?」

「…コイツ送っていくんで」

「え、いいよ。まだ昼間だし」

「酔い醒ましのついでや」

「あー確かにそのままは帰れないか」


思考はしっかりしてるようだけど
相変わらず顔真っ赤だし
目もちょっとトローンとしてる

酔ってるってすぐバレるだろう


「じゃあ財前また後でな!
慶ちゃん、楽しかったで。
またよろしゅう頼むわ」

「こちらこそ。
また機会があればお願いします」

「はよ行くで」

「ちょっと待ってよ!」


白石さんと忍足さんに一礼して
先に歩き始めた財前を追いかける

酔ってるのになんでこんな足速いんだコイツ


「足速いね」

「お前と違うて足長いんや」

「喧嘩売ってんのか」


どうせ短足で太いですよ私の足は

くそう顔面偏差値が高いからって人を
小馬鹿にしやがって


何か言い返したいが見た目の欠点がない
あるとすれば性格に難アリ


「おい」

「え、心読めました?」

「霜月の心なんぞ読みたないわ」

「ことごとく失礼なやつだな」

「お前、氷帝やろ」

「は…?」


普通の会話に自然に入ってきたワードは
私の頭を真っ白にさせた

なに、急に
っていうかなんで知ってるの

ハテナでいっぱいになりすぎて
言葉は全く出てこない

瞬きするので、精一杯で


「見たことあんねん」

「…どこで」

「中学ん時、合同練習でそっち行った」


確かにあったかもしれない
ばかみたいに色んな学校と練習して試合して

その中に四天宝寺があっても
なにもおかしくはない
だって強豪校なんだから


だけど私を見たなんておかしい

私はあの人と違って外に出ることは
許されなかった

それに彼等が私の存在を公にする筈がない
それも、わざわざ他校に


「やから、」

「やめて!!」


出す必要ない大きな声
そんなことは分かっていたけど

聞きたくない


珍しく驚いた顔をした財前に
ちょっと罪悪感を感じたが
それ以上に不快感が脳を埋め尽くした


気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い
もしかして酔ったのかな?なんて

現実逃避もいいとこだ






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