第4章 あるとすれば性格に難アリ
「お待たせしましたぁ~!生4つです!」
美人で細っこい店員さんが
ジョッキを4つ運んできた
慣れてるんだろうが、すごいな
どこにそんな力があるんですかねお姉さん
「じゃ、乾杯しよか!」
「「「「かんぱーい」」」」
昼から飲み会だなんて、贅沢だ
だけど最近あまり飲んでなかったし
アルコールで流してしまおう
きつい炭酸と苦味が喉を通っていくのが
なんだか心地いい
「何食おかな」
「たこわさー!!」
「俺イカゲソ食いたいっす」
「てきとーに頼むか。
慶ちゃんも食べたいのあったら言うてな」
「ありがとうございます」
とりあえず飲めればいい
お腹も満たしたいがそこまで空いてないし
お酒お酒 あー美味しい
「なー慶ちゃんって部活やっとった?」
金髪…じゃなくて忍足さんの
唐突な質問に思わず手が止まった
いや、普通だったら大した質問ではないけど
私に限っては大した質問だ
「なんや謙也、急に」
「俺どっかで慶ちゃんの名前
聞いたことがある気がするねんけど」
「なんすかナンパっすか」
「一緒に飲んどってナンパするかアホ!」
「実はなー俺も何となく記憶あんねん。
そない珍しい名前ちゃうで同姓同名の別人
かもやけどな」
出来ればスルーしたかったが
この人「忍足」って言うんだよな
思い出したくないが
記憶にちゃんと残っているあの眼鏡と同じ苗字
しかもアイツ確か関西に従兄弟がいるとか
言っていなかったか
何年も前の話だから曖昧だけど
「そちらは何かやってるんですか」
答えたくなかったので質問返し
よっしゃ上手いぞ私
「なんや知らんかったんか」
「知るも何もそんな機会なかったし」
「俺たちはずーっとテニスやってんねん」
人懐っこい笑顔と共に言われたスポーツは
一番聞きたくなかったものだった
ずっと、ということは
間違いなく中学、高校とやっていたんだろう
きっとアイツらのことを知ってるだろうし
もしかしたらアイツらもこの人たちを
しっているかもしれない
練習試合に着いていくことは
許されなかったから
他校のことは名前ぐらいしか知らない
関西弁…大阪とかその辺り?