第41章 消えた灯りと人魚姫の歌
ネプチューンとしらほしに案内された城の大広間には、すでに酒盛りを始めている3人の男とオレンジ色のツナギを着たクマの姿があった。
「あッ、キャプテーン! どこ行ってたんだよ、おれたちずっと心配してたのに!」
わずかに頬を赤らめて手を振るベポ。
しかし、その手には酒瓶が…。
「ったく、どの口で言いやがる。」
「え、なにー? あッ、モモ、コハク! 良かった無事だったんだね!」
今度は本気で心配していたようで、酒瓶を放り投げ、バタバタとこちらに駆けてくる。
そしてその勢いのまま、ムギュッと抱きしめられた。
「むぐッ、ベポ…苦しい…。」
「おい、バカ力なんだから加減しろよー!」
すかさず2人から上がった苦情に、ハッとして力を緩める。
「ご、ごめん。でも本当に心配したんだよ。」
下がり眉のしゅんとした表情に、思わず胸がキュンとする。
昔からベポはモモの心の癒やしなのだ。
「心配させてごめんなさい。わたしが勝手な行動をしたから、みんなとはぐれてしまったの。」
そもそもはヒスイが陽樹 イブのもとへ駆け出したのがきっかけだが、そのあとは全部モモのワガママだ。
「いやいや、聞いたぜモモ。お前、このリュウグウ王国を救ったんだって? さすがは俺らの薬剤師!」
ベポを追いかけてきたシャチ、ペンギン、ジャンバールが誇らしげにモモの背を叩く。
「それ、違うの。わたしはなにも…--」
「急に空が暗くなったのには驚いたが、まさか裏でモモたちが活躍してるとはな。助けになれなくてスマン。」
「それより、モモ。このご馳走食ってみろよ。めっちゃウマいッス!」
仲間たちくらいには誤解をときたかったが、まったく話を聞いてもらえなくてうなだれる。
「ほら、母さん。いい加減あきらめて宴に参加しよーぜ。」
「……うん。」
まあ、いいか。
なんでも。
だって、みんながこんなに楽しそうなんだから。