第41章 消えた灯りと人魚姫の歌
目を覚ましたコハクを連れて、モモたちは再び王城を訪れた。
ただ前回と違うのは、城の前に多くの家臣たちが集まり、モモたちを歓迎していること。
みんなモモたちを見ると、まるでヒーローでも見るかのような眼差しを向ける。
なんと、城門の前には国王であるネプチューンまでもが出迎えているではないか。
「よく来たんじゃもん、おぬしら。そして、すまなかった…!」
ずんぐり大きなネプチューン王は、先ほどのフカボシ王子と同じように、ガバリと頭を下げた。
「しらほしの友達であるおぬしらを疑い、犯人扱いしてしまったことを心から詫びたい!」
「いえ、あの…ッ」
そんなのもういいのだ。
わかってくれたことは嬉しいけど、こんなに大げさにすることじゃない。
こうして謝罪を受けることはもちろん、ヒーローのように見られて、とんでもなく居心地が悪い。
「もう、いいんです! わたしが紛らわしいことをしたのは事実ですし、陽樹 イブが輝き始めたのだって、しらほしの力です。」
だからそんなふうに頭を下げないで欲しい。
「そんな、ご謙遜なさらないでください。この国を救ってくださったのは、モモ様ですわ。」
これ以上ヒーロー扱いされたくないのに、しらほしまでもがそんなふうに言って、ほとほと困り果てる。
「いい加減にしろ。俺たちは海賊だ、ヒーローなんかと一緒にすんじゃねェ。」
見かねてローが口を挟むと、それまでワーワーと騒いでいた周囲がピタリと口をつぐむ。
「ああ…、そうだった。おぬしら海賊は、ヒーローになるのが嫌いじゃったな。うっかりしてたんじゃもん。」
「は…?」
いや、別にヒーローになるのが嫌いなわけではないのだけど。
なんだ、その変な決めつけは。
「そうでした。ルフィ様もあれほど嫌がられていましたのに…。ごめんなさい、モモ様。」
「う、ううん。いいの。」
どうやらこの国では“ヒーロー扱いされることが心底嫌いな海賊”の前例があったようだ。
なにやら腑に落ちない部分もあるが、とにかくルフィのおかげでモモは居心地の悪い眼差しから解放された。