第41章 消えた灯りと人魚姫の歌
その後、しらほしの行方も気にはしていたが、王城では事件解決に向けて必死に原因を探っていた。
すぐに追っ手が来なかったのは、そのためである。
しかしどんなに文献を漁っても、実際に海の森を訪れても、原因と思わしきものは見つからなかった。
「そんな折りです。デン殿から手紙が届いたのは…。」
「手紙…?」
王族の登場に恭しく頭を下げるデンをチラリと見たが、彼は微笑みを浮かべるばかりだ。
「手紙には、しらほしと共にいること、そしてあなたがたに原因があるとは思えないこと、そして独自に原因を調査することが書かれていました。」
朝にデンが出した手紙は、フカボシの手元に届く頃には昼過ぎになっていた。
「するとどうでしょう。今までなんの変化もなかった陽樹 イブが再び光だしたではありませんか。」
自分たちには手も足も出なかった世界樹が光を取り戻した。
時間が解決したこととはとても思えない。
「これは、あなたがたのおかげですね?」
「え…、いや、別にわたしたちは…。」
フカボシの問いにモモはふるふると首を振った。
だって、歌を知っていたのはしらほしだし、自分は彼女の背中を押しただけにすぎない。
しかし、モモが否定する前にしらほしが意気揚々と叫ぶ。
「はい! 光を取り戻してくださったのは、モモ様です!」
「ちょ、ちょっとしらほし…ッ」
まるでモモの手柄のように言われて慌てる。
だって、本当にそんなたいそうなことはしてない。
あえて言うなら、解決に導いたのはスターエメラルドが呼び寄せた人魚姫の魂だろう。
しかし、フカボシはモモの気持ちなどよそに、「やはり…」と頷く。
「あなたがたはこの国の恩人です。どうぞ城へお越しください! 父も濡れ衣を着せてしまったことに心を痛めておりますので…。」
「いや、わたしは別に…!」
恩人なんて恐れ多いモノになりたくない。
けれどしらほしとフカボシを始め、集まった兵たちは、誰もがモモを英雄のように見つめ、話を聞いてくれない。
多勢に無勢とはまさにこのこと。
結局、半ば強制的にモモたちは王城へと招かれることとなった。