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セイレーンの歌【ONE PIECE】

第41章 消えた灯りと人魚姫の歌




「どうしたの、しらほし。なにか急用?」

未だ戸惑い気味のしらほしに、モモは妙に朗らかな笑顔で尋ねる。

ローの話を聞こうとは思ったものの、やはり怖かったのは事実で、しらほしの登場に安心してしまった。

そのちょっとした後ろめたさを隠すための笑顔だ。


「えっと、はい…! 実は、こちらに王城の兵団が向かって来ているみたいなんです。」

「え…ッ」

一応モモたちは兵に追われて王城から逃げ出してきた身。

追われる原因となった陽樹 イブの一件はすでに解決済みだが、罪人扱いされたモモとしては、どうしたらいいのか迷う。

「…ヤツらはどういう了見でこちらに向かって来ているんだ。」

すかさずローがしらほしに尋ねた。

「それは…わかりません。けれど、皆様に迷惑は絶対にお掛けしません!」

彼らに非がないことは明らかだし、それどころかこのリュウグウ王国の恩人なのだ。


「わたくしに説得させてください!」

このままモモたちを罪人扱いしたままでは、王国の恥となる。
この国の王女として、そんなことは認められない。

「構わねェが、もしお前の話が通じないようなら、俺たちは力ずくでこの島を出るぞ。」

事件も解決したことだし、これ以上この国に固執することはない。

モモたちに危険が及ぶのなら、尚更のこと。

「わかっております。…でも、そんなことはさせません。わたくしはこの国の王女なのですから!」

「しらほし…。」

強い眼差しで言う彼女に、モモは感慨深い気持ちになった。

昨日、出会った時の泣き虫な彼女とは、まるで別人である。


(人が強くなるのに、時間って必要ないのね。)

自分はローと別れてからの6年で、だいぶ強くなったと思う。
でも、本当は覚悟さえあれば、たった1日でだって強くなれるものなのだ。

そう、しらほしのように…。

(わたしも、見習わなくちゃ…。)

いつまでも守られる自分のままじゃいられない。



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