第41章 消えた灯りと人魚姫の歌
ゴゴゴ…。
どこからか地鳴りの音がする。
「モモ様、見てください! 陽樹 イブの根が…!」
しらほしに指差された方を見ると、先ほどまでキラリともしなかった根が、ホワホワと淡く輝き出している。
「光ってる…! やったわ、しらほし。陽樹 イブに歌が届いたのよ!」
「はい…!」
地上10000メートルから太陽光を運ぶのだ、まだ少し時間はかかるかもしれないが、確実に光は戻ってきている。
しかし、すでに淡く光だしたところを見ると、この魚人島まで案外早く光は伝わるのだろうか。
「きゅきゅッ、きゅー!」
「どうしたの、ヒスイ。」
それまで静かに抱かれていたヒスイが、急に焦ったようにモモの袖を引く。
「なにをそんなに焦って…--」
そう言いかけた時、モモはあることに気がつく。
「…ねえ、しらほし。」
「はい、なんでしょう。」
「陽樹 イブは、あとどのくらいで輝きを取り戻すのかしら。」
尋ねられたしらほしは、「うーん」と考え込んだ。
「どうでしょうか…。でも、陽樹 イブの根は先ほどよりも輝いていますよ。光の速度はとても速いと言いますし、意外とすぐなのではないでしょうか。」
うん、そうだよね。
わたしもそんな気がしてる。
「ということは、わたしたち…、ここにいたらどうなるのかしら…。」
「え…?」
どうなるって…。
それは、この洞窟は普段、陽樹 イブの光が強すぎて入れないくらいなのだ。
このままいたら…--。
「光で目が潰れてしまいます。…って、きゃああぁッ、どうしましょう! モモ様ァ、ど、どうしましょう!」
現実を知ったしらほしは、パニック状態に陥る。
「ご、ごめんなさい、しらほし! 落ち着いて! とにかく外へ出ましょう。」
無駄に慌てさせてしまったことを詫びながら、しらほしの腰を押す。
「で、でも…ッ、まだロー様たちが…!」
「……。」
ローたちは今、洞窟の奥にいる。
そんなことは言われなくてもわかってる。
心配で堪らない。
今すぐ彼のもとへ駆けていきたくて仕方ない。
でも…。
「ローたちは大丈夫よ。わたしたちがここに留まっていたら、足手まといになる。先に行きましょう。」
信じるしかないんだ、今は。