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セイレーンの歌【ONE PIECE】

第8章 嫉妬




「…あんの、ロクデナシ!」

「は…?」

「いいえ、こっちの話。いいわ、あなたこれからの予定は?」

「船に戻って、お昼ゴハンを作ります。」

あらそう、と手を叩いた。

「つまりヒマってことね。」

「え? いや、ヒマじゃないです。」

聞いていなかったのだろうか。
ついでに言えば、買った薬草の苗も植えたい。

「じゃあ、私に付き合ってちょうだい。」

あれ、話が通じない?

「えっと、あなたお名前なんだっけ?」

「…モモです。」

そこからか…。

「そう、モモ。じゃあ、行きましょ!」

「いや、メルディアさん! わたし、船に戻らないと…。」

「あら、なぜ? あなた達、この島にいる間は自由時間なんでしょ。食事くらい、勝手にやるわよ。」

「そうですけど…。」

バスケットはかなり重い。
これを持って動き回るのはけっこうキツい。

「ああ、それね。」

メルディアはバスケットを片手でヒョイと奪った。

モモは両手でヒーヒー言いながら持っていたというのに、その細腕のどこにそんな力があるのか。

「んー、あ、良いところに…シャチ!」

メルディアは街中を歩くシャチを呼び止めた。

「あん? あ、メル姐さん…とモモ!?」

彼は慌てて駆け寄って来た。

「オイオイ、2人でなにやって--」

「悪いけどコレ、船に持って行って。」

シャチの言葉を最後まで聞かず、バスケットを押し付けた。

「私たち、これから少し、遊んでくるから。」

「はァ!? なに言ってんだ、ダメですよ。」

連れて帰る、と伸ばされたシャチの腕をパシリと叩いた。

「シャチ、あんた誰にもの言ってるの?」

メルディアが悪そうに笑う。

「昨夜、ずいぶん楽しんだみたいね? 聞いたわよ、あなたにそういう趣味があったなんて知らなかったわ。」

「……え?」

シャチの顔から冷や汗が滝のように流れる。

「コスプレにお医者さんごっ…」

「うわー!わー!わぁぁー!」

街中にシャチの絶叫が響く。
メルディアがなにを言ったのか、全然聞こえなかった。


「コレ、持って行ってくれるわね?」

「…ハイ。」

(えぇ! シャチ…!)

頼みの綱があっさり堕ちた。

「じゃ、行きましょ!」

メルディアはモモの腕を掴み、引きずるように連れて行った。


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