第41章 消えた灯りと人魚姫の歌
モモは目を瞑ってしらほしの歌を聞いていた。
デンの家で聞いた、あの歌を。
歌って不思議…。
こんなにも心が落ち着くもの。
言葉で伝えきれなくても、歌ならば伝わる。
そう思ってしまうのは、モモがセイレーンだからなのか。
ピカ…。
(え…?)
瞼を閉じていたけど、なにかが光ったような気配がして、慌てて目を開けた。
「モモ様、どうかしましたか?」
「…今、なにかが光らなかった?」
一瞬だったけど、淡いものだったけど、確かに瞼の下で光を感じたのだ。
「いえ…。わたくしは気がつきませんでした。」
「そう…。」
では、モモの思い過ごしなのだろうか。
おかしいな、本当に光ったと思ったのだけど。
「あら、モモ様。その指輪、少し光ってませんか?」
「え…。」
しらほしが指した指輪は、モモの左薬指に輝くスター・エメラルドだ。
見ると、確かに淡くだが光を放っていた。
「モモ様のおっしゃっていた光というのは、そのことですか?」
「そうなの、かな…。」
もっと強い光だった気がするけど、それはモモの勘違いだったのかもしれない。
それより、今は指輪の光が気になる。
(そういえば、前にもこんなことがあったわ。)
あれはそう、モモが初めて世界樹と出会った時のことだ。
行方不明になったローを探し、真っ暗闇の地下をさまよっていると、ちょうど今みたいに指輪が光り、その中から小さな子供が現れたのだ。
モモは、あの子供は亡くなったローの妹だったと信じている。
古来より年月を重ねた鉱石は不思議な力を宿すと言われている。
だとしたら、今回も…?
この僅かばかりの光が、なにかのきっかけとなると信じて、ジッと見つめた。