第41章 消えた灯りと人魚姫の歌
ローが行ってしまったあとも、モモはしばらく暗い海の先を見つめていた。
その様子を見ていたしらほしは、素朴な疑問をモモに投げかけた。
「モモ様とロー様は、恋人同士なのですか?」
「ふえッ!? ち、違うわ…ッ、どうしてそんなこと聞くの?」
おもしろいくらい動揺したモモに逆に問い返され、しらほしは首を傾げる。
どうしてって、単純にそう思ったのだ。
「モモ様たちを見ていたら、なんだかそんなふうに思えたので…。」
親密さはもちろん、見つめる眼差しも特別なもののように感じたのだ。
「そんなこと、ないわ。」
しらほしは勘違いをしている。
自分たちにそんな甘い雰囲気などありはしないのだから。
自分で否定をしておきながら、その事実に少し切なくなる。
「…モモ様はロー様のことが、お好きなのですか?」
「え…。」
この気持ちを言い当てられたのは、初めてだった。
どうしてだろう。
いや、でも思ってみれば、自然なことだったのかもしれない。
いつもモモの周りには、鈍感な仲間たちしかいないから。
しらほしのような女の子と触れ合うのは、ずいぶん久しぶりだ。
女同士というのは、不思議だ。
なぜだか素直に自分の気持ちを晒け出したいという気持ちに駆られる。
だからモモは誤魔化すことをせず、正直に頷いた。
「…うん、好きよ。」
好きなんて言葉じゃ足りないくらい、大好き。
この気持ちを認めてから、それを言葉にするのは初めてのこと。
不思議なもので言葉にすると、気持ちが強くなってくる気がする。
きっと、本人に伝えられないせいだろう。
「ローのことが、好きなの。」
溢れる気持ちは、涙となって流れ出た。