第41章 消えた灯りと人魚姫の歌
自分が足手まといなことは、モモ自身が1番わかっていた。
それは、今も昔も同じ。
モモの強みは戦闘力ではないし、それはもう、仕方がないことだった。
でも、いざ指摘されると、胸にグサリとくるものがある。
自分のワガママでみんなに迷惑をかけるわけにはいかない。
陽樹 イブのことはとても気になるけど、引き下がることを選んだ。
けれどそれでも沈んでいく心は、どうしようもなかった。
そんな気持ちを察するように、ローはモモの頭を撫でた。
まあ、撫でるというより髪を掻き乱すという表現の方が近い。
ちょ、ちょっと…。
コハクの前でこんな子供扱いをされるのは、少し恥ずかしい。
しかし、そんな羞恥はローの言葉に吹き飛ばされた。
「…俺が行ってやる。だから、そんな顔すんじゃねェ。」
「え…。」
乱れた髪を直すのも忘れ、ポカンとしたままローを見つめた。
「俺がこの先に行って調べてくるって言ってんだ。お前は大人しく、ここで人魚姫と待ってろ。」
「で、でも…。」
そもそも原因を調べたいと言ったのはモモのワガママなのだ。
ローはそれに付き合ってくれているだけ。
それなのに彼にすべてを押し付けるなんて、そんな勝手なことはできない。
「でもじゃねェんだよ。これは、船長命令だ。」
「……。」
そんな言い方はズルイ。
そう言われてしまえば、モモはローに従うしかなくなってしまうじゃないか。
さっきの発言だって、本当はローが自分を想って言ってくれているのだとわかっている。
不器用でわかりづらい彼の優しさ。
その優しさが、今は痛い。