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セイレーンの歌【ONE PIECE】

第41章 消えた灯りと人魚姫の歌




そうこうしているうちに、洞窟内の様子が変わってきた。

ずっと海水で埋め尽くされていた洞窟は、しだいに空気が入り始め、壁には樹の根がつたうのを確認できるようになった。

この根はもしかして…。

「これが陽樹 イブの根だ。もうすぐ海の森下に到着するよ。」

デンが言うように、それから先に進むにつれて樹の根はどんどん太くなり、その数を増やした。

きっと普段なら、この洞窟内は世界樹が作り出す光で埋め尽くされて、目も開けられないほどなのだろう。


それからしばらくすると、空気が溜まった一帯にたどり着いた。

「よし、一度ここらへんを調べてみようか。」

「はい。」

メガロの背に作ったシャボンから飛び降りるローとコハクに続いて、モモも飛び出す。

が…、何度も言うけどモモの運動神経は残念すぎるので、2人のようにうまくは飛べない。

「きゃッ」

メガロの鮫肌に足を引っかけ、頭から真っ逆さまに落ちる。


「モモ様…!」
「母さん!」

コハクとしらほしの驚きの声が聞こえたが、焦ったモモはキツく目を瞑るしかない。

“ROOM”

衝撃に備えて身を縮めた時、薄い膜を張ったサークルが身体を包む。

その瞬間、落下するしかなかったモモの身体がピタリと止まり、宙を浮いた。

「……?」

恐る恐る瞼を開くと、すぐ目の前にはローの仏頂面が。

「よくもまあ、そんなんで人魚姫のところへ行こうとしたな…。」

あの時、水中を泳ぐしらほしのところへ行っていたら、こんなもんじゃすまなかったぞ。

暗にそう言われ、反論したくてもこの格好じゃ ぐうの音も出ない。

「…ごめんなさい。」

ここは大人しく認めるしかなかった。


「スー、ハー。」

長い海中移動から久しぶりに陸地に足をつけられたモモは、大きく深呼吸をした。

こんな洞窟内でも空気はおいしい。

陽樹 イブは光を届けることを止めてしまったけれど、深海に空気を供給する役目は果たしている。

だとすれば、機能が死んでしまったわけではない。

どうして光は届かなくなってしまったのだろう…。


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