第41章 消えた灯りと人魚姫の歌
翌朝、ローの勘はやはり当たってしまった。
時計の針が朝を告げても魚人島に朝日が差し込むことはなく、深海10000メートルのリュウグウ王国は闇に包まれたままだ。
「やっぱり自然に回復してくれるのを待つのじゃダメね。陽樹 イブのもとへ行ってみましょう。」
原因となる樹を調べないと、いくら豊富な知識を持っていても宝の持ち腐れにしかならない。
「昨日のとこに行くのか? 森には城の兵士がいっぱいいそうだけど。」
「う、そうか。」
コハクの言うように海の森には今頃、兵士たちがわんさかいて自分たちを探しているかもしれない。
モモを犯人だと思っている彼らに、状況を説明して調査する…というのは、なかなか骨が折れそうだ。
しばらく考え込んでいたモモの隣で、同じく考え込んでいたデンがある提案をした。
「うーん、海の森かぁ…。あそこにあるのは陽樹 イブのほんの一部だからね。よければ、少し違う場所へ行かないか?」
「違う場所…?」
陽樹 イブを直接触れて確認できるのは海の森しかないと思っていたが、違うのだろうか。
「森の地下さ。普段は樹の輝きが強すぎて目を焼いてしまうから行けないんだけど、今なら簡単に行けるはずだよ。」
「え、森に地下があったんですか?」
「ああ。島の深海層にある洞窟から繋がってるんだ。そこならあまり知られていないし、兵士たちもいないんじゃないかな。」
あまり知られていない場所だし、深海層は治安があまり良くないので、王城の兵士たちは近寄りたがらない。
「そこなら、陽樹 イブを詳しく調べられるんですか?」
「僕はそう考えているけどね。」
どちらにしても、そこに行くほか選択肢はなさそうだ。
「決まりだな、さっさとこんな面倒事は片付けちまうぞ。」