第41章 消えた灯りと人魚姫の歌
「うーん…。」
しらほしと2人、資料を読みふけっていたモモは大きく伸びをした。
「なかなか今回の件に関係がありそうなことは見つかりませんねぇ。」
そう言って肩を落とすしらほしは、少し眠たそうだ。
「しらほし、先に眠っていてもいいのよ?」
あいにくベッドは用意できなさそうだが、バブリーサンゴで大きめのシャボンを出せば、なんとか寝床にはなりそうだ。
「い、いいえ! 皆様が頑張っていらっしゃるのに、わたくしだけ眠るなんてできません!」
「気にしないで、そんなこと。わたしたちは夜更かしに慣れているのよ。」
研究者のいうのは、いつも研究に没頭してしまい睡眠が疎かになるものだ。
だから、いつもローを寝かすのには苦労をする。
「で、でも…。」
「ガマンすると、明日の朝起きれなくなっちゃうかもね。なんなら、子守歌でも唄いましょうか。」
パサリと資料を閉じたモモは、本当に唄うつもりなのか、しらほしに向き直った。
「わ、わたくし、そんな子供じゃございませんわ…。」
子守歌なんて、小さい子供が聞くものだ。
そういえば、幼い頃、よく母のオトヒメが唄ってくれた気がする。
「モモ様は、いろんなお歌を知っていらっしゃるのですね。」
海の森でも彼女の歌を聞いたが、聞き惚れるくらい素敵な歌だった。
「そうかな? 自分ではあまり意識してないんだけど。」
モモにとって、唄うことは生活の一部だ。
たくさんの歌を知っているというより、その時々に合わせた歌を唄っているので、あまりそういう感覚はない。
「しらほしは歌を唄わないの?」
「わたくしは…、あまり歌を知らないのです。」
「そうなの?」
母は幼い頃に亡くしてしまったし、それ以来は部屋に閉じこもりの生活だったから。