第41章 消えた灯りと人魚姫の歌
「じゃあ、ひとまず海の森に行ってみますか?」
まずは原因となる陽樹 イブのところへ行ってみないとなにも始まらないだろう。
モモの提案にみんなが頷きかけたが、デンだけが待ったをかけた。
「みんな、暗いからって時間の感覚がなくなっているみたいだけど、もうすぐ日暮れ時だ。陽樹 イブを調べるなら、明日の朝の方がいい。」
確かに、すっかりわからなくなっていたが、時刻は夕方を指していた。
デンの言うとおり、調べるなら本来陽樹 イブが輝く日中でないと意味がない。
「まあ、明日の朝になったら、いつも通り光り出すかもしれないしなー。」
「…そうね。」
コハクの言うように、そんな可能性も残されている。
明日は、いつもの朝が訪れるかもしない。
「とりあえず、僕は家に溜めてある研究資料をまとめて、今回の事件のキッカケが掴めないか調べてみるよ。」
「わたしも手伝います!」
そういう仕事なら、モモの得意分野だ。
「わ、わたくしも…!」
しらほしも名乗りを上げたが、彼女では家に入るどころか、資料に目を通すことも苦労するだろう。
けれど、国の一大事になにかせずにはいられない。
その気持ちは痛いほどわかった。
「じゃあ、しらほし。わたしが資料を読み上げるから、庭で一緒に探しましょう。」
そうすれば、一緒に原因を探せる。
「はい…!」
モモの提案に、しらほしは嬉しそうに笑った。
「チ…ッ、面倒くせェ。」
ローはそう悪付きながらも、デンの家へと入っていった。
ああやって面倒くさがりながらも、資料をまとめる手伝いをしてくれるに違いない。
その後をコハクがついていく。
「ローって、デスクワークとかできんの?」
「…ナメんな、俺は医者だぞ。」
そんなローのプライドを刺激するような会話に耳を傾けながら、モモも資料を取りに家へと入った。