第41章 消えた灯りと人魚姫の歌

｢しらほし…。｣

自分以上に青ざめるしらほしを見て、モモはますます心苦しくなった。

｢いいのよ、しらほし。もし、本当にわたしが原因なら、きちんと取り調べを受けるべきだわ。｣

ショックを受けている場合ではない、太陽光の遮絶はリュウグウ王国の存続をも揺るがしてしまうのだ。

拘束されて取り調べを受けるくらい、なんでもない。

｢で、でも…ッ｣

それではモモが罪人扱いされてしまうではないか。

原因は絶対他にあるはずなのに…。

けれど しらほしには衛兵を止める術もなく、槍を手にモモへ詰め寄る彼らを見つめることしかできない。

誰か、彼らを止めて…。

ルフィ様…ッ。


カチャリ。

その時、同じく刃を構えた音が部屋に響いた。

しらほしの想いに応えたのは、ルフィでもモモでもない。

目つきが悪くて少し怖い、ルフィの“お友達”だった。

｢それ以上、コイツに近づくんじゃねェよ。｣

モモの前に進み出たローは、鞘から抜いた鬼哭を衛兵たちに向け、その歩みを止めさせた。

｢な…ッ、貴様、抵抗するつもりか！？｣

無抵抗だったモモとは反対に、従うつもりのない彼の行動に兵たちがざわめいた。


｢抵抗もなにも、捕まる理由がねェ。｣

大勢の兵の威嚇もものともせず、フンと鼻を鳴らすローをモモが諫めた。

｢待って、ロー。わたしが原因かもしれないのよ。ちゃんと調べてもらうべきだわ。｣

ローとコハクはともかく、世界樹に最後に触れたのは自分なのだ。

しかし、そんなモモの言い分にローは呆れたため息を零す。

｢…世界樹ってのは、触るだけで光を失うようなヤワなモンなのか。｣

｢それは…。｣

そんなはずはない。
そのくらいで弱る世界樹なら、とっくの昔に枯れてしまっているだろう。

原因は、自分じゃない。

本当はそのくらい、わかっている。

でも、100％違うとは言い切れない。

その“もしも”の可能性が、モモを臆病にさせていた。