第41章 消えた灯りと人魚姫の歌
陽樹 イブが輝きを失ったのは、わたしのせい…?
向けられた槍の先がキラリと光を放つ中、モモは言葉を失った。
文官の言うとおり、陽樹 イブに最後に触れたのは、間違いなく自分だ。
ならば本当にそのせいで、魚人島は真っ暗闇に包まれてしまったのか。
今回の事件の原因を突き止める手伝いがしたいとは思っていた。
だけどそれが自分のせいだなんて露ほども思っていなかったモモは、その事実に青ざめる。
なんてことをしてしまったんだろう…。
「お待ちください! モモ様たちが原因など、どうしてわかるのですか!」
にじり寄る衛兵たちの前に進み出たのは、しらほしだった。
あの時、現場には自分もいたが、モモたちが原因などとはとても思えないのだ。
普段は声を荒立てたりしない しらほしも、この時ばかりは黙ってられなかった。
「しかし、姫様。それしか原因が思い浮かばないのです。この者たちが触れた途端、陽樹 イブが輝きを失ったというのは、護衛兵から報告済みです。」
確かにその通り。
でも、それが原因だという証拠はない。
「それは…、たまたまそういうタイミングだっただけです。海の森にはこれまでも、たくさんの観光客が訪れていたではありませんか。」
魚人島は新世界の入口だということだけあって、たくさんの人間が行き来している。
世界樹に触れたのは、なにもモモだけではないのだ。
そんな曖昧な理由で、せっかくできた友達を連れて行かせはしない。
「おどきください、しらほし姫様。これは国王様の指示なのですよ。」
ネプチューンの名を出すと、しらほしの表情が僅かに歪んだ。
「お父様の…?」
まさか、父が確固たる証拠もなく、自分の友達を拘束するはずがない。
「わからないのですか? それほど事は重大なのです!」
文官に強く言い放たれ、しらほしの大きな身体がビクリと震えた。