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セイレーンの歌【ONE PIECE】

第41章 消えた灯りと人魚姫の歌




コンコン…。

部屋の扉が叩かれたのは、ちょうど話が盛り上がってきたときだった。

「あ…、お菓子がきたのかもしれませんわ。」

すっかり話に夢中になってしまっていたが、気づけば侍女にお茶の用意を頼んでからずいぶんと時間がたってしまっている。

有能な侍女たちは、普段はこんな失態など起こさないのに、やはり陽樹 イブの影響なのだろうか。

それなら取り乱してしまうのも仕方がない。
そう考え、気を取り直して しらほしは扉の外へ返事をした。

「どうぞ、入ってください。」

しらほしの返事に応じ、部屋の扉が開かれた。


ガチャリ…。

しかし、部屋に入ってきたのは、お茶とお菓子を持った侍女ではなく、槍と甲冑で武装した衛兵たちだった。

「わ、なに…?」

物々しい雰囲気に、モモは思わず腰を上げる。

「これはいったい、何事ですの…?」

同じくしらほしも、いきなりやってきた衛兵に驚きを隠せない。

「……。」

みんなが驚く中、ローだけは静かに太刀へ手をかけた。

彼らの視線の中に“敵意”を感じたからだ。

やはり、王城になど来るべきではなかったのかもしれない。


戸惑うモモたちの前に、ひとりの文官が進み出てきた。

「大勢で押しかけてしまい申し訳ありません、しらほし姫。これには事情がごさいまして…。」

「事情、ですか…?」

それはどんな事情なのだろう。

こんな大勢の兵が現れては、いくら顔見知りの者たちとはいえ、少し恐ろしい。

「はい、陽樹 イブのことについてでございます。」

「陽樹 イブ…。」

その言葉に反応したのはモモだった。

もしかして、世界樹が輝きを失った理由がわかったのだろうか。

「聞けば、陽樹 イブはある人物が触れた瞬間、輝きを失ったとか。」

確認するように尋ねる文官に、モモはその瞬間を思い出していた。

確かに、その通りだ。


「この度の件は、わたくし共の見解からして、その人物に原因があるものと思われます。」

ちょっと待って。
陽樹 イブに最後に触れたのは…。

「国王様の命により、その者たちを拘束します!」

ザ…ッ。

文官が言い放つと同時に、衛兵たちの槍がいっせいにモモたちへと向けられた。



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