第41章 消えた灯りと人魚姫の歌
「ええっと…、お菓子がくるまで…その、お話しでもしませんか?」
モモ、ロー、コハク、ヒスイがそれぞれ部屋で寛いでいると、しらほしがおずおずと言い出した。
「もちろん。わたしもしらほしと話したいわ。」
そう応えてやると、しらほしはパッと表情を輝かせた。
「では…ッ、では、なにをお話ししましょうか!」
「そうね、まずはあなたのことを聞かせて欲しいわ。」
「わたくしのこと…?」
キョトンと首を傾げるしらほしに、モモは頷いてみせる。
思ってみれば、彼女のことをなにも知らない。
友達ならば、互いのことを理解しなければ。
それに正直、先ほどしらほしが言っていた「ずっと命を狙われていたから」という言葉も気になっている。
「わたくしのことなどで良ければ、喜んでお話ししますわ…!」
そう言って、しらほしは過去のことから語りはじめた。
しらほしの母親、オトヒメが人間と魚人との間にあるわだかまりをなくすために奮闘し、志半ばで暗殺されたこと。
その際、魚人海賊であるバンダー・デッケンに“マトマトの呪い”をかけられ、常に命を狙われるようになったこと。
父王ネプチューンがしらほしを守るため、10年もの間、部屋から出るのを禁じたこと。
その全ては、モモの想像を遥かに超える痛ましいものだった。
泣き虫を克服しようと頑張る彼女が、まさかそんな辛い想いをしていたなんて…。
「ごめんなさい、しらほし。辛いことを思い出させてしまって…。」
気軽に知りたいなんて言うべきじゃなかった。
しかし、しらほしはふるふると首を振った。
「いいえ、辛いばかりの思い出ではありません。そのおかげで、わたくしはルフィ様にお会いすることができましたもの。」
「麦わらのルフィ…?」
そうだ、彼女とルフィはいったいどんな出会いをしたのだろう。