第41章 消えた灯りと人魚姫の歌
愛娘に友人ができたことを、リュウグウ国王 ネプチューンはとても喜んでくれた。
「よくぞ参った、しらほしの友人よ。我が名はネプチューン。歓迎するんじゃもん。」
城内に招かれたモモたちは、王族の住まいに絶句する。
「す、すごいね…。」
なにがすごいって、豪華さがすごい。
天竜人の船も豪華だと思ったが、それとはまた訳が違う。
「はぁ…。オレたちの家が1000個くらい入りそうだな。」
「……。」
実際その通りなんだけど、それを言われるとなんだか悲しくなってくる。
「…そもそも、住んでる連中のデカさが違ェだろ。」
しらほしからしてみれば、自分たちの船などおもちゃサイズなんだから。
そもそも王城と庶民の家を比べる方がおかしい。
大口開けて驚くモモとコハクをよそに、ネプチューンは申しわけなさそうに一行へと告げた。
「客人よ、盛大にもてなして宴を開きたいところなのじゃが…。すまぬ、今、このリュウグウ王国では、国を揺るがすほどの事件が起きているのじゃ。」
「それって、陽樹 イブのことですか?」
海の森で陽樹 イブが輝きを失ったことは、記憶に新しい。
あれほどの光を失っては、もはや国全体が知ることとなっているだろう。
ネプチューンも、隠す気はないようだ。
「うむ…。こんなことはワシが王位に立ってから、初めてのことじゃもん。」
陽樹 イブは、魚人島にとって要。
世界樹が光を失えば、海底10000メートルの深海はたちまち闇に包まれてしまう。
幸い、城内や街の主要部には、発光性のある植物や点火式のランプなどで、かろうじて明かりが灯っているが、太陽光に勝るものなどありはしない。
早急な原因の解明が求められた。