第41章 消えた灯りと人魚姫の歌
モモたちは王家専用の移動魚“リュウグウ号”に乗り、しらほしと共に魚人島 リュウグウ王国の城、竜宮城へと向かった。
「わぁ…! ここがお城…!?」
水中に佇む竜宮城は、異国情緒が溢れており、暗闇でも発光性の海藻やクラゲに囲まれていて、とても美しい。
「すげぇな…。オレ、城なんて初めて見た。ローは見たことあるか?」
「…まぁ、あるな。」
元ドラム王国の城、ドレスローザの王宮。
目的のため、または計画のために今まで“城”というものに侵入したことは多々あった。
しかし、こんなふうに純粋に城へ入るのは初めてのことだ。
それも、客として招かれるなど、なおさら。
「モモ様、お城へ着いたら わたくしのお部屋にご案内しますわ! そこでみんなでお菓子を食べましょう!」
「ん…、うん、そうね。」
なんだか最初の目的とは大きくズレてしまっているようだが、まあ…いいか。
『お帰りなさいませ、しらほし姫! 開門いたします!』
城門の内側から声が聞こえたかと思ったら、ギギギ…と音を立てて、大きな扉が開き始めた。
すると中から、しらほしよりも一回り小柄なおじさん人魚が現れた。
「しらほし! 無事じゃったか…、心配したんじゃもん!」
たっぷりとしたひげにもこもこの髪。
そして頭の上にはキラリと光る王冠。
もしや、彼は…。
「お父様…! ご心配をお掛けして、申し訳ありません。」
王女 しらほしが父と呼ぶ男。
つまりは彼こそが、この魚人島を統べる王。
リュウグウ王国の国王なのだ。
「んん…? しらほし、彼らは誰じゃ。客人か?」
「はい、お父様。この人たちは、わたくしの…お、お、お友達ですわ!」
言っておきながら、彼女はチラリとモモの方を窺った。
「わたくしたち、お友達ですよね?」という心の声が聞こえてきそうだ。
本当にしらほしはわかりやすい。
微笑ましくて可愛い…。
「ええ。わたしたち、友達ね。」
いつの間にか、モモには4人目の友達ができていた。