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セイレーンの歌【ONE PIECE】

第41章 消えた灯りと人魚姫の歌




ローの素早い登場にポカンとしていると、地面についてた手を無理やりとられ、傷を確認された。

「動くなっつってんのに、どうして動く! …ああ、クソ。擦りむいちまってんじゃねェか。」

指で傷口をなぞられると、ズキリと痛んだ。

多少血が滲んでしまっているかもしれない。

「ごめんなさい。」

暗くてローの表情は確認できないけど、声色から本当に心配していることがわかる。


「……。」

それっきりなにも喋ってくれない。

もしかして怒っているのだろうか。

「ロー…?」

不安になって彼の名前を呼んでみると、ゆらりと動く気配がした。

ヌルリ…。

「……!?」

突然、手のひらに感じた温かくて湿っぽい感触に、ビクリと身体が跳ねた。

な、なに…!?

湿り気を帯びた熱は、そのまま傷口に這う。

ピリリとした痛みと、ねっとりとした感触が合わさって、なんとも言えないゾワゾワ感が背筋を震わせた。

ふいに温かな吐息が手のひらをくすぐり、ローがなにをしているのかに気がつく。


な、舐めてる…!

このヌメリとした感触は、彼の舌だ。

それを意識した瞬間、頬がカッと熱くなるのを感じた。

「な…ッ、なな、なにして…!」

思わず手を引こうとしたけど、ガッチリと掴まれたまま、びくともしない。

「うるせェ、ただの消毒だ。」

「なに言って…ッ」

傷口を舐めることが消毒にもなんにもならないことくらい、医者の彼ならわかっているはずだろう。

口をパクパクさせるモモに構わず、ローはもう一方の手のひらにも舌を這わせた。


「…他に傷は?」

「……ッ」

モモは無言のまま、勢いよく首を振った。

本当は擦りむいた膝がズキズキ痛んだけど、もしそれを言ったらそこにまで舌を這わされそうで怖い。

なんのつもりか知らないけど、これ以上モモの心臓をドキドキさせるのは止めてほしい。



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