第40章 深海の島と海の森
モモがルフィに会いたいと思う理由を考えていると、陽樹 イブから目を離したコハクがローのところに戻ってきた。
「……。」
「…なんだよ?」
コハクなら、その理由を知っているのだろうか。
「お前、麦わら屋…麦わらのルフィを知っているか?」
思い切って聞いてみたが、コハクはキョトンと目を丸くするばかりだ。
「麦わらのルフィ…って、誰だ?」
コハクはルフィのことを知らないようだった。
ならば、当然モモが彼に会いたがる理由もわからないだろう。
「イヤ…、なんでもねェ。」
どちらにしても、いずれルフィとは合流する。
その時に理由は明らかになるはずだ。
(それにしても…。)
ローは自分の胸がモヤモヤムカムカとするのを感じていた。
原因なら、わかってる。
モモがルフィに会いたいと思っていることを知ったからだ。
(アイツが他の男のことを気にすると、こんなにムカつくもんなのか…。)
これが嫉妬というものか。
モモを好きだと自覚してから、初めて感じる心情に戸惑ってばかりだ。
あのルフィにさえ嫉妬するくらいでは、もしこの先、コハクの父親と会う日が来たら、自分はいったいどうなってしまうのだろうか。
「…で、麦わらのルフィってヤツがどうかしたのか?」
コハクはローに問われたことが気になっているようだ。
迂闊にこんな質問をするんじゃなかった。
「なんでもねェって言ってんだろ、気にすんな。」
「はぁ? 気になるっつーの。」
そんな2人のやりとりを眺めていたしらほしは、純粋な疑問を口にする。
「おふたりは、ご兄弟かなにかですか?」
「「は…?」」
ほら、見事に揃った反応なんかそっくり。
「なに言ってんだよ、人魚姫。どこをどう見ればそうなんの?」
コハクは呆れたように言うけど、しらほしにはそれがなせだかわからない。
「だって、お顔がとても似てらっしゃいますもの。」
ローとコハクは、まるで過去と未来の姿を写したようによく似ている。
血が繋がっていると考えるのが普通だろう。
しかし当人たちだけが、その事実を認めない。
「「全ッ然、似てねェよ!」」
2人に凄まれ、しらほしはヒッと息をのんだ。