第40章 深海の島と海の森
陽樹 イブに感動するモモたち親子を、ローは少し離れたところで見ていた。
確かに10000メートル先の地上から太陽光を伝える世界樹の力は素晴らしいが、自分は彼らほど感動したりできない。
それはローの心が、2人とは違い曇っているからなのだろうか。
自分にはあの純粋さがもう無いけど、だからこそ真っすぐな瞳を持つ彼らに惹かれるのかもしれない。
そんなことを考えながらモモとコハクを眺めていると、自分を見つめるしらほしの視線に気がついた。
「…なんだ。」
「いえ…。ロー様はルフィ様のお友達でございましょう? ルフィ様はお元気でいらっしゃいますか?」
どうやらしらほしは、ルフィの様子を知りたがっているようだった。
「一応言っておくが、俺とアイツはダチじゃねェ。ただ、同じ目的のために手を組んでいるだけだ。」
自分たちの関係はただの同盟だ。
しらほしの言うような馴れ合いの関係ではない。
しかし、しらほしにはそれがよくわからないようで、首を傾げる。
「それは、お友達とどう違うのですか?」
「……。」
どこもかしこも違うのだが、この世間に疎そうな人魚姫にそれを説明するのは面倒だ。
「ハァ、もういい。…アイツなら、元気だ。少し元気がねェ方がちょうどいいくらいにな。」
結局、しらほしの誤解をとくことを諦め、聞かれた質問にだけ答えた。
「まぁ…! ルフィ様はお元気なのですね!」
ルフィの話を聞けて、しらほしはまるで自分のことのように喜んだ。
「わたくしも、ルフィ様に早くお会いしたいです…!」
「オイ、別に俺はアイツに会いたいわけじゃねェ。」
しらほしの言い方は、まるでローもルフィに会いたがってるみたいだ。
「いえ…。モモ様のことです。先ほど、ルフィ様に早く会いたいと仰っていましたので。」
「モモが…?」
初耳だった。
彼女の家に新聞が置いてあったことから、自分とルフィが同盟を組んでいたことを知っているとは思っていたが、モモ自身がルフィに会いたいと思っているなど知らなかった。
いったい、なんのために…?